2014年1月22日、兵庫・姫路の Spanish Tapas Bar Baila で1杯。当時のメモには すごく甘い と一言だけ書き残している。

ネット検索では全くヒットせず、なかなか素性がつかめなかった謎のワイン。名前もスペイン語で「町」を意味する Villa と、ドイツ語で「赤」の意味の Rothe が合体している。結論から言うと、ドイツ西部、ラインラント地方の ZELL という街にある Ceva という有限会社がどうやら瓶詰め業者の名前らしく、検索をかけるとフランスワインの輸入業者と説明されている同名の会社が ZELL にあった。この会社がフランスではなく、なぜかバレンシアのどこかのボデガで造られたワインを樽ごと買って自社で瓶詰めしたということだろうか。

これらのことはエチケットに漢字で表記された「果実酒」の上下にある表記から推測。例えば「果実酒」のすぐ上にある GmbH D-56856 ZELL という表記は GmbH が有限会社を指し、次の D- 以下の数字は ZELL の郵便番号ということだ。その上に筆記体で Ceva との表記がある。さらに「果実酒」の下にはスペイン語で瓶詰め業者を表す EMBOTELLADO があり、右隣に ABFŰLLER というドイツ語も併記。これはドイツワインのエチケットで瓶詰め業者を表記する用語のうち、ブドウ栽培者と瓶詰め業者が異なる場合の用語らしい。

もちろん、調べ切れなかったことはまだまだあって、「果実酒」の2行下にある D-RP 907 133 in D 07 135 092 という番号もその一つ。これをそのまま検索すると、いろんなワインがヒットし ZELL を含むモーゼル地方産で黒猫のエチケットが有名な白ワインの SCHWARZE KATZ もある。同じ番号で違う生産者の名前もあるのだけれど、どうやら Josef Drathen というのが共通した親会社らしい。ドイツには事業者番号とか納税番号というのがあり、その番号なのだろうか。しかし、ドイツで瓶詰めしてもDOバレンシアを名乗れるのか。(2020.5.17)